担保の意味と価値とは

借入時に金融機関から差し入れを要求される主な担保には、預金担保、不動産担保、有価証券担保があります。

預金担保

預金担保とは、法人または経営者の定期預金を担保に、定期預金額のおよそ8掛けの金額を貸付けることを言います。

一般的に、金融機関から預金担保が提案されることはありません。金融機関側から預金担保を提案するということは、「私たち銀行は、あなたの会社を一切信用していません」という、銀行からの意思表示になるからです。

預金担保では、金融機関は経営者の定期預金をそのまま経営者に貸付けるため、リスクなしで金利を得ることができます。逆を言えば、経営者に預金があれば、経営者貸しとして自己資金を現金預金に振り替えることで、支払金利負担なしで必要運転資金を手当てすることができます。

金融機関から預金担保が提案される場合、それはメリットデメリット関係なく「無条件」で借入をしたいという経営者からの要求に応えた場合です。そのため、何かのきっかけで預金担保が実施されている場合には、経営者側から「解除」を申し込む必要があります。

不動産担保

不動産を担保にすることで、お金を借りることができるローンです。不動産を担保にするため、まとまった金額を低金利で借り入れることが可能です。一般的に無担保融資よりも一度に借りられる額が大きく、金利が低く長期返済も可能というメリットがある一方、返済不能になった場合、担保の不動産が売却されてしまう可能性があります。

一般的に、経営者や企業が不動産を所有している場合には、金融機関が不動産担保を求めてくることがあります。ただし、不動産担保があれば100%貸し出すということはなく、不動産の担保価値や借入者の支払い能力などについての審査を受け、それらに応じて融資金額などが決定されることがほとんどです。

見落とされがちな注意点ですが、不動産担保融資を利用する場合、融資手数料や抵当権の登記費用などで融資額の1~3%の手数料が必要になります。表面金利は安くても実質金利が高くなってしまうことがあります。また手数料は前払いとなりますので、予めある程度の現金を用意しておく必要があります。

不動産担保を利用する場合には、融資実行に際して金利以外の手数料がどの程度かかるか、必ず詳細を確認するようにしてください。

有価証券担保

有価証券担保というのは「株式や債権、手形、小切手」などを担保にした融資のことを言います。

有価証券担保は有価証券の種類と発行主体の信用力によって、担保評価が大きく変わってきます。

国債

国債であれば債権の額面の90%程度まで評価してもらうことができます。国債は国が責任をもって発行している債権であり、日常的に銀行同士で取引されるものですから、「流動性が非常に高い=いつでも換金できる」担保となります。

社債

民間の企業が発行する債権です。最近では、ソフトバンクなどが社債を中心に資金調達して有名になってきました。ソフトバンクなどの大手企業の社債であれば比較的容易に換金可能なので、額面の60~80%程度まで評価してもらうことができます。しかし、未上場企業や中小企業の社債では買い手が見つけられないことが多く、ほとんど担保にはなりません。

株式

東証1部上場企業で日々の取引量が十分にある株式は、担保価値は高く額面の60%~80%程度で評価してもらえることがあります。一方で上場企業でも取引量の少ない株式は値動きが大きいケースもあり、この場合には銀行は担保評価を50%~60%と抑えめに査定することがあります。未上場企業や中小企業の株式では買い手が見つけられないことが多くなってしまうため、ほとんど担保にはなりません。

手形

約束手形の場合には、手形を担保に融資を受けることもできますが、多くの場合は現金にあたり手数料を割引かれる場合が多いようです。手形の担保評価は発行会社の信用力によって評価されます。