メインバンク、サブバンクとは何か?

企業が主に取引する金融機関を1行に定め、密接な関係を保つという日本独自の金融慣行です。

メインバンクの定義

メインバンクの条件と定義はありません。ただし、企業と取引している複数の金融機関の内、金融機関が優先する基本取引、付随取引のシェアが最も高い金融機関の支店長が自らメインバンクとして名乗り出た場合にメインバンクとなります。

銀行が行う基本取引は、預金、貸付、手形割引、為替取引。付随取引は、固有業務に付随して行なう保護預り、振替、手形交換、債権の取り立て、債権の保証、金銭の出納、両替、有価証券の売買、他銀行の業務代理、担保付社債に関する信託業務などの取引きがあります。

一般的には、預金残高、貸付残高、売上の決済、金銭の出納のシェアが、金融機関が優先する条件となるとされていいます。

メインバンクのメリット・デメリット

メリット

事業が一時的に傾いた際に、人材の派遣や運転資金の貸付けなど、銀行が持つヒトモノカネ情報といったリソースを使って支えてくれるのがメインバンクです。

また、中長期的な新規事業開発に必要な設備投資、運転資金に関して、主に資金面でサポートしてくれるため、資金調達がしやすくなります。

デメリット

銀行の窓口は営業マンなので、動かない営業マンが担当になった場合、メインバンクの動き自体が悪くなります。

また、メインバンクが単なるお金の貸し手にとどまらず、主要株主や経営者を上回る影響力をもつ存在になってしまう場合があります。

その結果、将来性のある事業の開発投資を申し込んでも、その立ち上げをメインバンクが妨げてしまうこともあります。

メインバンクの論点

メインバンクはどのようにして決まるのか?

メインバンクは、企業と取引している複数の金融機関の内、金融機関が優先する基本取引、付随取引のシェアが最も高い金融機関が自らメインバンクとして名乗り出た場合にメインバンクとなります。

メインバンクとの正しい付き合い方は?

メインバンクが決まったら、まずは銀行との信頼関係構築のため、融資課長、担当マンに月次報告会を行います。月次報告会で伝えたい内容は、以下の3つです。

① 法人と経営者との財務的関係の明確な区分・分離の状況
② 財務基盤の強化に向けた取組みの状況
③ 財務状況の正確な把握、適時適切な情報開示等による経営の透明性確保の状況

法人と経営者との区分・分離に関しては、税理士や会計士、監査役などの同席または、監査報告

財務基盤の強化に向けた取組みとしては、中期経営計画の策定と進捗報告

経営の透明性確保への取組みとしては、月次試算表の提出や事業概況の報告、などがあげられます。

月次報告会の実施以外の方法で無理をして銀行との信頼関係構築を実現しようとしてもどこかに無理が出てしまうので、30分程度で質疑応答まで済ます簡易な報告会で十分です。

メインバンクのデメリットの対処方法

主要取引銀行の支店長にメインバンクと名乗らせた後、取引をメインバンク1行に絞るとメインバンクのデメリットに対処できません。理想は3行との取引です。

メインバンクが決まったら、次に取引2位のサブバンクを作り、常にメインバンク、サブバンクとの緊張感のある関係を作ります。

金利や営業マンに不満がある場合は、営業マンの上司にあたる融資課長に事実を伝え、メインバンクとのパイプを維持しながら、意図的にサブバンクとの取引シェアを上げていきます。一旦担当となった営業マンは都合で外すことはできませんが、緊急度と本気度が伝わるため、次のタイミングで担当者が変わる可能性が高まります。